共同海損の精算

共同海損の精算

適用されるヨーク・アントワープ規則により異なりますが、一般的には次のようなものが共同海損に認容されます。共同海損精算人は共同海損サーベイヤーからのレポ-ト及び船主等関係者から提出された書類を精査の上、共同海損精算書を作成します。

  1. 救助費・曳航費
  2. 避難港入出港関係費用(入出港費用や代理店費用)
  3. 避難港における積荷仮揚げ、保管、再積込費用及び保管中の火災保険料
  4. 船主支出額(監督出張費、通信費等)
  5. 犠牲損害修繕費
  6. 代換費用(代船輸送や仮修繕費など)
  7. 航海の延長の間に正当に支払った船員の給食料及び扶養料
  8. 航海の延長の間に消費された燃料及び貯蔵品
  9. 共同海損費用保険料
  10. 共同海損サーベイ費用
  11. 共同海損精算人費用
  12. 立替手数料及び利息

負担価額

共同海損の精算は冒険終了の時及び地における価額(残存価額)に基づいて行います。

船舶

航海終了時の船価は損傷のある船舶の場合、正体価額から共同海損に認容されない修繕費を控除した価額をもって負担価額としています。正体価額は専門の船価鑑定人などに評価依頼をします。

積荷

仕切状価額(正体価額)によって負担価額を決定します。この価額に運賃及び保険料が含まれていない場合にはこれを加算します。船舶同様、共同海損に認容されない損害がある場合は、正体価額からこれを控除します。中間港で売却されたときは正味売得金が負担価額となります。

運賃

後払い運賃のみが共同海損を負担します。

その他

定期用船者の燃料やコンテナも共同海損を負担します。燃料は残油量から、コンテナは保険価額や帳簿価額から負担価額を決定します。

必要書類

共同海損処理に必要な書類は主に下記のとおりです。適宜、共同海損精算人より指示がありますので、連携の上ご対応願います。

  1. 海難報告書(Marine Note of Protest)
  2. 船長の事故顛末報告書(Statement of Fact)
  3. 航海日誌、機関日誌(Deck Log Book、Engine Log Book)
  4. 代船の航海撮要日誌
  5. 積荷目録(Cargo Manifest)
  6. 運賃明細表(Freight list)
  7. 積荷積付図(Stowage Plan)
  8. 共同海損検査報告書(G.A. Survey Report)
  9. 船価鑑定書(船舶保険証券写)
  10. 共同海損費用保険証券
  11. 共同海損盟約書(Average Bond)
  12. 積荷価額申告書(Valuation Form)
  13. 仕切状(Commercial Invoice Copy)
  14. 積荷保険者発行の無制限共同海損分担保証状(Letter of Guarantee)
  15. 支出費用明細書
    • (1)救助費
    • (2)避難港諸費用
    • (3)曳船費・代船費用・仮修繕費
    • (4)G.A.サーベイ鑑定料
    • (5)共同海損費用保険料
    • (6)本船修繕費および臨時検査料
    • (7)船主出張費・通信費・会合費
  16. 本船関係費用
    • (1)船員給料・手当・航海日当の月額明細表
    • (2)船員食料金月額明細表
    • (3)船員保険料のうち船主負担額の月額明細表
    • (4)海難報告認証料・本船通信費
  17. 代換費用関係の計算資料

小額共同海損担保特別条項

共同海損となる損害について、保険契約者または被保険者が他の利害関係者に共同海損の分担を請求しないときは、あらかじめ「小額共同海損担保特別条項」を付帯することにより、取り決めた金額を限度に共同海損となる損害の総額を船舶保険の保険金でお支払いすることができます。
保険契約者または被保険者が荷主とのビジネス上の関係、損害・費用の額等を考慮し、荷主などの他の利害関係者に共同海損の分担を請求しない場合に、あらかじめ付帯された「小額共同海損担保特別条項」に従い共同海損の損害をカバーすることができます。

  • 当該特別条項は一定の要件を備えた船舶に付帯されます。詳細については当社までお問い合わせください。

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